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まつどTODAY~松戸市議会議員 みのわ信矢のまちづくりブログ

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H27年3月議会 議案の賛否

3月24日(水)、松戸市議会3月定例会が閉会となりました。

みのわ 議会 議場 登壇


3月議会は予算議会とも言われ、新年度の一般会計、特別会計、そして企業会計の各予算案を審議する、とても重要な議会です。
その他、政策に関してなど多数上程された議案を審議しました。

みのわ信矢の各議案への賛否と、松戸市議会としての結果は以下の通りです。

(表記方法は、○議案内容 ○みのわ信矢の賛否 ○議会の結論、の順で記載しています)

71 号 平成26年度松戸市一般会計補正予算(第7回)
みのわ・賛成/ 議会・可決

72 号
平成26年度松戸市国民健康保険特別会計補正予算(第2回)
みのわ・賛成/ 議会・可決

73 号 平成26年度松戸市松戸競輪特別会計補正予算(第1回)
みのわ・賛成/議会・可決

74 号
平成26年度松戸市下水道事業特別会計補正予算(第1回)
みのわ・賛成/議会・可決

75 号 平成26年度松戸市介護保険特別会計補正予算(第3回)
みのわ・賛成/議会・ 可決

76 号 平成26年度後期高齢者医療特別会計補正予算(第2回)
みのわ・賛成/議会・可決

77 号 平成26年度松戸市水道事業会計補正予算(第1回)
みのわ・賛成/議会・可決

78 号 平成26年度松戸市病院事業会計補正予算(第3回)
みのわ・反対/議会・可決

96 号 まちづくり用地活用事業基金条例の制定について
みのわ・賛成/議会・ 可決

97 号 松戸市庁舎建設基金条例の制定について
みのわ・賛成/議会・可決

103 号 松戸市立小中学校空調設備整備PFI事業者選定委員会条例の制定について
みのわ・賛成/議会・可決

118 号 契約の変更について(松戸市防災行政無線同報系システム再整備工事)
みのわ・ 賛成/議会・可決

79号 一般会計予算
みのわ・賛成/議会・可決

80号 国民健康保険特別会計予算
みのわ・賛成/議会・可決

81号 松戸競輪特別会計予算
みのわ・賛成/議会・可決

82号 下水道事業特別会計予算
みのわ・賛成/議会・可決

83号 公設地方卸売市場事業特別会計予算
みのわ・賛成/議会・可決

84号 駐車場事業特別会計予算
みのわ・賛成/議会・可決

85号 介護保険特別会計予算
みのわ・賛成/議会・可決

86号 後期高齢者医療特別会計予算
みのわ・賛成/議会・可決

87号 水道事業会計予算
みのわ・賛成/議会・可決

88号 病院事業会計予算
みのわ・賛成/議会・可決

89号 東京オリンピック推進会議条例の制定(一部略)
みのわ・賛成/議会・可決

90号 いじめ調査委員会条例の制定
みのわ・賛成/議会・可決

91号 行政手続条例の制定
みのわ・賛成/議会・可決

92号 職員定数条例の一部改正
みのわ・賛成/議会・可決

93号特別職の給与及び費用弁償の一部改正(一部略)
みのわ・賛成/議会・可決

94号 一般職の給与に関する条例及び一般職の任期付き職員の採用及び給与の特例に関する条例の一部改正
みのわ・賛成/議会・可決

95号 職員退職手当支給の条例の一部改正
みのわ・賛成/議会・可決

98号 公共施設再編整備推進審議会条例の制定
みのわ・賛成/議会・可決

99号 市税条例の制定
みのわ・賛成/議会・可決

100号 市税条例の一部改正
みのわ・賛成/議会・可決

101号 手数料条例の一部改正
みのわ・賛成/議会・可決

102号 行政財産使用料条例の一部改正
みのわ・賛成/議会・可決

104号 いじめ防止対策委員会条例の制定
みのわ・賛成/議会・可決

105号 保育の実施に関する条例を廃止する条例の制定
みのわ・賛成/議会・可決

106号 老人ホーム入所判定委員会条例の制定
みのわ・賛成/議会・可決

107号 老人福祉施設等整備事業者選考委員会条例の制定
みのわ・賛成/議会・可決

108号 保育所設置条例の一部改正
みのわ・賛成/議会・可決

109号 介護保険条例の一部改正
みのわ・賛成/議会・可決

110号 介護認定審査会条例の一部改正
みのわ・賛成/議会・可決

111号 指定地域密着型サービスに関する条例の一部改正(一部略)
みのわ・賛成/議会・可決

112号 指定地域密着型介護予防サービスに関する条例の一部改正(一部略)
みのわ・賛成/議会・可決

113号 指定介護予防支援等の事業等に関する条例の一部改正(一部略)
みのわ・賛成/議会・可決

114号 松戸駅周辺まちづくり委員会条例の一部改正
みのわ・賛成/議会・可決

115号 自転車の放置防止に関する条例の一部改正
みのわ・賛成/議会・可決

116号 消防団条例の一部改正
みのわ・賛成/議会・可決

117号 地方教育行政に関する条例の制定(一部略)
みのわ・賛成/議会・可決

119号 契約の変更について((仮称)関台小学校電気設備)
みのわ・賛成/議会・可決

120号 契約の変更について((仮称)関台小学校機械設備)
みのわ・賛成/議会・可決

121号 あっせんの申立てについて(東電への請求)
みのわ・賛成/議会・可決

124号 一般会計補正予算(第8回)
みのわ・賛成/議会・可決

125号 契約の締結について(新松戸学校跡地利用施設工事(一部略))
みのわ・反対/議会・可決

126号 国民健康保険条例の一部改正
みのわ・賛成/議会・可決

127号 教育委委員会教育長の任命
みのわ・賛成/議会・可決

128号 教育委員会委員の任命
みのわ・賛成/議会・可決



[ 2015/03/25 01:18 ] 松戸市政 | TB(0) | CM(4)

松戸市のいじめ対策に疑問

H27年3月議会に、いじめに関する2つの委員会を設置する条例案が、市から提案されました。
しかし、残念ながらこの議案からは、いじめに対する市の逃げ腰の姿勢と、問題の本質から目をそらすばかりの体質が浮き彫りになったと言わざるを得ません。

みのわ信矢がこのように判断する理由を、以下に細かく記載します。
長いレポートになりましたが、ぜひお読みください。


平成23年におこった「大津市中学生自殺事件」。
明らかにひどいいじめが続いていたにも関わらず、それを放置した学校と、その実態調査をしっかり行わなかったばかりかその結果を隠ぺいした教育委員会に対して、司法が厳しい判断を下しました。
この不幸な一件を機に、社会はいじめ防止に真剣に取り組む必要性に迫られました。
H25年には、いじめに関する一般法ともいえる「いじめ防止対策推進法」が施行され、その中で国は、地方自治体に対していくつかの義務を課し、また、努力義務も提示しています。

この度の、松戸市からのいじめに関する2つの委員会の設置条例案も、この法律にもとづいて、いじめの防止への取り組みとして提案されたものです。
その2つの委員会とは、以下のものです。

(1)松戸市いじめ防止対策委員会
(2)松戸市いじめ調査委員会

似たような名前で、なにがどう違うの?と思われるでしょう。
簡単にいえば、(1)のいじめ防止対策委員会は、いじめが発生した現場に近いところで、1次的に調査をする委員会で、(2)の松戸市いじめ調査委員会は、(1)の委員会で調査されたもを、教育委員会などの現場に近いところではなく市当局として再調査するための機関である、ということです。そして、2重構造をもって、いじめを見逃さず確実な対処をしていこうという考えだといっていいでしょう。
その内容を、作成したフローにもとづいて説明します。

いじめ_フローチャート


いじめ(いじめの定義はリンクを参照ください)が起こった場合、まず、それが次の定義に照らし合わせて重大事態かどうかを判断し、重大事態であった場合には調査することとなっています(いじめ防止対策推進法(以下、いじめ防止法)第28条1項1号、2号)。

いじめ防止対策推進法第28条
1項
1号 いじめにより当該学校に在籍する児童等の生命、心身又は財産に重大な被害が生じた疑いがあると認めるとき。
2号 いじめにより当該学校に在籍する児童等が相当の期間学校を欠席することを余儀なくされている疑いがあると認めるとき。


そして、上記2項目に該当する重大事態を調査するための機関として、松戸市は、いじめ防止法第14条3項(下記参照)を参考にして「松戸市いじめ防止対策委員会」を設置し、ここで調査ができるようにするといいます。
いじめ防止対策推進法第14条
3項 前二項の規定を踏まえ、教育委員会といじめ問題対策連絡協議会との円滑な連携の下に、地方いじめ防止基本方針に基づく地域におけるいじめの防止等のための対策を実効的に行うようにするため必要があるときは、教育委員会に附属機関として必要な組織を置くことができるものとする。


ここで注意したいのは、重大事態を調査する機関は必ずしもここでなくてもよく、各学校で実施可能な「学校いじめ防止対策委員会」での調査も可能だ、という点です。

この段階で、僕はすでに3つの疑問を持ちます。
1.いじめと思われる状況を、誰が「重大事態」だと判断するのか。
2.その「重大事態」の1次調査は、「学校いじめ防止対策委員会」と「松戸市いじめ防止対策委員会」のどちらで調査をするのかを、誰が決めるのか。
3.そもそも「重大事態」の定義が抽象的かつ曖昧で、判定基準としてはふさわしくないのではないか。

この疑問について考察する前に、話を先に進めます。

「学校いじめ防止対策委員会」か「松戸市いじめ防止対策委員会」のいずれかで調査されたその結果は、法的義務として、地方公共団体の設置する学校(つまり、校長ととらえていいでしょう)から、教育委員会を通じて自治体の長に報告しなければなりません(いじめ防止対策法第30条1項)
地方公共団体が設置する学校は、第二十八条第一項各号に掲げる場合には、当該地方公共団体の教育委員会を通じて、重大事態が発生した旨を、当該地方公共団体の長に報告しなければならない。

次に、その義務的になされた報告にたいしては、地方公共団体の長(市長)は、付属機関を設けて、再調査をすることができる旨が法で規定されていますが(いじめ防止対策推進法第30条2項)、あくまでも義務ではなく、再調査が可能であるという条文です。
2項 前項の規定による報告を受けた地方公共団体の長は、当該報告に係る重大事態への対処又は当該重大事態と同種の事態の発生の防止のため必要があると認めるときは、附属機関を設けて調査を行う等の方法により、第二十八条第一項の規定による調査の結果について調査を行うことができる。

そして、市長が再調査を実施した場合には、その結果を、これは法的義務として、議会に報告しなければならないと定めています(いじめ防止対策推進法第30条3項)
3項 地方公共団体の長は、前項の規定による調査を行ったときは、その結果を議会に報告しなければならない。

これらの規定に対応するため、市としての再調査機関として設置しようと提案されたのが「松戸市いじめ調査委員会」。
いわば教育現場サイドの1次調査に対して、市当局としてその実態を確認するための再調査機関です。

先ほどの3点の疑問に続き、加えて以下の点についても疑問を抱きます。
4.「学校もしくは松戸市 いじめ防止対策委員会」の調査報告を受けた市長は、なにをもって、「松戸市いじめ調査委員会」に再調査をかけるかどうかを判断するのか。

以上が、この度の松戸市議会に提案された2委員会設置案とその意味、そしてそれに対するみのわ信矢の疑問です。
具体的な疑問は既述の4点なのですが、僕が本2委員会設置条例案を読み込んで感じることとしては、「教育委員会内に設置する“松戸市いじめ防止対策委員会”には、余計なことをしてほしくない!」、教育委員会はでしゃばらないでほしい、ということです。
前の説明に戻りますが、重大ないじめ(重大事態)を1次的に調査するのは、学校にあるいじめ防止委員会か、教育委員会にあるいじめ防止委員会です。その時に、学校に委員会があるのだから、まずは学校に調査をさせるべきだと僕は考えます。そして、そこで調査をしたならば、教委をつうじて市長に報告することは学校の義務なのですから、教委は、それに対して機械的・事務的に報告を市長に届ける事務をすればいいのです。
なのに、わざわざ教育委員会に設置したいじめ防止対策委員会で調査しようなどというのは、何かまた、教育委員会が情報を操作するためだとか、あるいは実態をかき回し事の本質をうやむやにすることを狙っているのではないかと、つい疑ってしまいそうになるのです。

このような思いを抱きつつ、H27 年3月11日(水)10:00から開催された松戸市議会 教育環境常任委員会での「松戸市いじめ防止対策委員会設置条例案」にて審議にあたりました。
その主な質疑内容の概要を、一部ですが、以下に記載します。

「重大事態」とする基準があいまい
みのわ「まず、いじめの状況が「重大事態」かどうかの基準を、いじめ防止法の基準をそのまま適用しているが、あまりにも曖昧で抽象的すぎるのではないか」
教委「重大事態かどうかを判断するのは、一つ一つのケースを慎重に見なければならないので、より具体化せよとの要望への対応は困難だ」
みのわ「しかしそれでは、調査をされなかった事案について後に重大性があったと判明し、調査しなかった理由を求めた時に(つまり、もみ消されたりなどした場合に)、学校に“重大な事態だとは思わなかった”と言われてしまえばそれまでだ。それに対する罰則もなく、それでは機構をつくっても、これまでと一緒である」
教委「そうならないように、丁寧に判断し対処していきたい」

学校現場より教育委員会がイニシアチブをとることへの疑問
みのわ「では、重大事態だと認定されたとき、学校の「いじめ防止委員会」と、教委にある「松戸市いじめ防止委員会」のどちらで調査するかは、誰が決めるのか」
教委「基本的には教育委員会、つまり教育長だと考えている」
みのわ「いじめが起こる現場の多くは学校で、その学校に委員会がすでにある。ならば、そこで調査することを学校長が決定することが極めて自然だ。それなのに、なぜ一旦、現場から離して教育長の判断とするのか。その意味や必要性が理解できない」
教委「客観的に、的確に判断するにはそれがいいと考えている」
みのわ「現場から遠く離れた教育長に、その事態が重大であったかどうかの一次的な判断をさせることを原則的とすることが、適切だとは考えにくい。教育委員会という、鎧(よろい)の厚いところに問題が閉じ込められてしまう不安を覚える」

いじめを受けた当事者やそれを目撃し止めようとする人とつながろうとしない「いじめ防止対策委員会」
みのわ「ところで、いじめ問題への対応をフローとして整理したときに、教育委員会が設置するいじめ防止対策委員会は、いじめを受けた側やそれを目撃した人からの直接の相談や調査依頼を受け付けていないように見える。しかし、これまで、見て見ぬふりなどの排他性が学校現場や教育委員会にあることが問題視されてきた流れの中で、直接の調査依頼などを積極的に受けていくべきだと考えるが、どうか」
教委「条例の位置づけから、あくまでも教育委員会、つまり教育長の設定する事項を調査する場として設置するので、当事者などからの直接の要請などは受けられない」
みのわ「それでは、いじめへの対処をしてもらえない、対応してくれないと不安や不満を持った場合、どうしたらいいか」
教委「教育委員会、松戸市で言えばいじめ防止対策委員会を所管する「指導課」に相談をしてもらいたい」
みのわ「いじめが重大がどうかの判断についてと同様であるが、それではこれまでのあり方と変わらない。これまでも、校長や教育委員会に相談しても不安が解消されなかったという点を踏まえての国の「いじめ防止対策推進法」であり、それを踏まえての市の「いじめ防止対策委員会」や「いじめ調査委員会」の設置案であるのに、形ばかりつくって、本質的な体質改善につながる構造になっていない」
教委「安心してもらえるよう、これまで以上に意識をもって、市民に寄り添う姿勢で丁寧に対応していきたい」


以上、ほんの一部ですが、教育環境常任委員会での、みのわ信矢と教育委員会との質疑応答から抜粋しました。
要点をまとめます。

いくら委員会を新たにつくって、市長への報告、再調査、そして議会(市民)への報告というプロセスを整備しても、入り口を分かりやすく(基準を明確にする、そして重大事態としなかった場合の理由の開示、など)つくらなければ、これまでと同様に、ことなかれや隠ぺいという同じ体質で対処されてしまう不安があります。
この、「教育委員会への不安」をどう解消していくかが求められているはずなのに、その点についての機能は盛り込まれていません。

そして、いじめを重大事態として取り扱う基準を明確にすることは、いじめられた側にとってはもちろん、ひいては、学校現場を救うことにもつながると僕は考えています。
この基準があいまいだから、校長は、教育委員会は、できるだけ隠そうとしてしまう。基準に関するガイドラインを明確にすることで、「こういう状態になってしまったんだから、次に○○○という対応をしなければならず、それは義務的なことなのだ」といういじめへの対処方を確立し、それをもっていじめの実態に逃げることなく対処していけるようにするべきだと思います。
「いじめか否か、それが重大が否か、その基準づくりは難しい」、そう教育委員会も市長部局も言います。確かにそうだと思います。ただ本質的には、委員会の新設などの形式の整備に合わせて、それを運用するためのガイドラインの明確化や、いじめの状態を客観的に抽出するための技術を進歩させることこそが、いま求められていることであり、重要な取り組みであるはずなのです。

そして、大津事件を経て求められている新たな環境整備に取り組むときに、相も変わらず、いじめを受けた側と直接向き合おうとしない松戸市教育委員会の姿勢に、僕は残念ながら、いじめ撲滅に対する真剣さや本気度をくみ取ることができません。

いじめに対する法整備が進み、それを受けての松戸市の対策。いまが大きな分岐点であり、対策の向上や発展にとってチャンスの時だと言えます。
そういう今にあっての松戸市の取り組みを、みなさんにもぜひ考察していただきたいと思います。
そして、さまざまな立場から、いじめへの対応を考察し、最善の姿を模索していかなければならないと感じています。





[ 2015/03/14 11:54 ] 松戸市政 | TB(0) | CM(-)

後援会報 秋号が完成しました!

みのわ信矢後援会の機関紙「SANDINISTA」
秋号が完成しました!!


今日から早速、地元のみなさんにお届けします。

朝の駅頭で、昼・夕の街頭演説で、そしてポスティングにてお配りします。
お手元に届き、お目にとまった際には、ぜひお読みください!

そして松戸市政についてなど、ご意見をどうぞお寄せください!



<表面>

sandinista 9月号



<裏面>

sandinista 9月号


※バックナンバーはみのわ信矢公式WEBサイトからもダウンロードできます。





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[ 2014/09/11 11:59 ] 後援会 | TB(0) | CM(1)

遺体保管所の反対運動を考える


 2014年春、川崎市中原区において民間事業者による遺体保管所の建設が予定されました。この計画に地域住民が強く反発し、反対運動が起こっていることが、TV番組などで報道され、話題になっています。
 この問題は、みのわ信矢が活動する松戸市にとっても対岸の火事と思えず、関心を寄せていました。例えば、最近特に話題となるのが、「保育園新設に対する、騒音対策などへの過剰な要望」。あるいは、実際にみのわ信矢も協力を求められた松戸市常盤平地区での「葬儀場営業への強い反対運動」など、同類の争いは各地で多発しています。
そこで2014年8月15日、実際に現地を訪れてきました。

 以下、長いレポートになるので結論から先に述べます。

 この問題は、適法行為であっても自分の意に沿わない事柄を感覚的に否定する、いわゆるNIMBY(ニンビー、Not In My Back Yardの略)による反対であり、住民による施設排除への要請には合理性が無いと思えます。
そして、各自治体は今後、さまざまな地域で起こるであろう同様の紛争に対して、「社会的囲い込み」の手法で問題の解消にあたるべきで、そのための技術を身に付けていくことが必要です。

 このような結論に至った経緯を、以下にレポートします。



川崎市中原区とは、どんなところ?
 川崎市は、人口およそ146万人を擁する政令指定都市。地理的には、神奈川県内では横浜市に隣接し、多摩川を挟んで東京都の大田区や世田谷区、調布市や狛江市といった自治体に囲まれた、神奈川県最東端の街です。
 同市は7つの行政区によって構成され、問題の遺体保管所は中原区宮内という地区で営業が予定されています。

 この中原区、人口は約24万3千人。JR南武線、横須賀線、湘南新宿ラインの3路線が乗り入れる武蔵小杉駅周辺は、長谷工アーベスト社による住みたい街2013年ランキングで3位となるなど、近年、街のイメージを急速に向上させています。市内にはその他私鉄路線も多数敷かれており、都内主要駅への良好なアクセス環境と、超高層ビル化による駅周辺再開発が人気の要因でしょう。



遺体保管所とは?
 そのように、急速に街のイメージが向上している中原区の一画に、問題の遺体保管所は建てられました。開業予定は2014年9月。周辺住民がこのことを知ったのは同年6月頃のことだと言います。
 ところでこの遺体保管所、亡くなったご遺体を火葬するまでの間、一時的に保管をしておく場所のことです。住宅事情でご遺体を自宅に保管しておけない、故人が独居であったため保管場所が必要、それらのような事情とあわせて葬祭場などでの葬儀を予定しない(葬儀の簡素化)風潮が強まり、このような保管所の需要が高まっていると言われています。
 1階部分が9室の保管室に区切られ、それぞれの小部屋に冷蔵施設はなくドライアイスなどで遺体の保存にあたるという同施設は、お悔やみの訪問などに対応するため24時間営業とのこと。

 みのわ信矢は現地での聞き取りなどを行う前に、TBSでの報道、ミヤネ屋での特集、そして地元事情を知らせるWEBサイト「カナロコ」など、ネットで情報を収集していました。そこで共通しているのが「超高齢化社会による新たな社会問題や都市課題が発生」という切り口。しかし僕は、その問題提起に感覚的な違和感を抱いていました。それらについての詳細は後述しますが、いずれにせよ準備が進められている遺体保管所問題は、現代の「公共施設と住民意識との関係性」における課題を象徴していることに間違いはないとの思いで現地を訪ねました。



工場や公共施設、そして住宅が並ぶ一画に建設された遺体保管所
 8月15日10時30分、車で現地に到着。近くのパーキングに駐車し、早速周辺を歩き回ります。保管所は、二子多摩川方面と武蔵小杉方面を結ぶ道路から入り徒歩約2分、反対側の多摩川堤防沿いの道路からも路地を入り同じく徒歩2分ほどの場所にありました。

川崎市 遺体保管所
問題となっている川崎市の遺体保管所。
工場の跡地を利用し、1階に9室の保管室で区切られる。


 この区域は、中原区宮前の「準工業地域」。準工業地域を簡単に言えば、都市計画法上、「環境の悪化をもたらす恐れのない工業の利便を増進するため定める地域」とされています(※準工業地域についての詳細は、例えばリンクのようなサイトでご確認ください)。
○住宅、○幼稚園や学校、○大型店舗(面積制限なし)、大規模事務所(面積制限なし)、工場(面積制限はないが、危険性が大きいか、または著しく環境を悪化させる恐れのあるものは除く)、○ホテル・旅館(風俗的な要素のあるものは不可)、○娯楽場、キャバレー等、○自動車教習所、そして○倉庫業の倉庫などが建築可能ですが、同保管所はもとは工場の跡地を借り受け、この「倉庫業」としての届け出にて営業を予定します。

 そもそも川崎市は、京浜工業地帯として戦後の産業を支えた地域。そして実際、保管所周辺にも、近年減少し続けているとはいえ、まだ中・小の工場が稼働しています。それに障がい者センターなどの公共施設、中・小規模のマンションや集合住宅、そして戸建住宅が併存し地域が構成されており、整然というよりやや雑然とした街並みという印象。そして近年も、工場跡地を建売住宅として分譲するためのミニ開発が保管所周辺で続けて進められており、同所の真裏にも、まだ新しい建売住宅数件が並んでいます。小さな自転車が置いてあるお宅やビニールプールが壁に立てかけてあるなど、幼児のいる子育て世帯が多く生活していることが伺え、先述した同区の高感度の高さを、しばらくはその年代をターゲットにしなげながら開発が進められていくのでしょう。
 近年の良好なイメージによる人口増を期待するように、1957年開校と歴史ある川崎市立宮内小学校では、校舎や校庭の大規模改修とリフォームがしっかりとなされています。各学年4クラス、900人近くを有し大規模校と言える同校は、さらなる児童増への対応を進めています。

川崎市 遺体保管所
さらなる児童数増に備えて改修も万全の宮内小学校。
とてもキレイな学校で同区に住宅の購入を考える子育て世代には高ポイントだろう



 ところで、用途地域の話しに戻りますが、このエリアは準工業地区である同所に、「第一種中高層住居専用地域」と「第一種住居地域」が隣り合っています。そして、図を見て頂くと分かりますが、同保管所は、その3つの境界線が交じり合った場所の準工業地区にあたります。第一種中高層住居専用地域も、第一種住居地域も、目的の主なものは「住環境の保護」にあると言えます。そしての2地域では、「倉庫業」はできません。



川崎市 遺体保管所
遺体保管所とその周辺の用途地域図

 これは推測ですが、同保管所隣接の住民にしてみると、「ほぼ同じ地区なのに、すぐそこの第一種住居地域や第一種中高層住居専用地域ではできないのに、ここでは建てることができてしまう」ことへのやり切れなさがあるのではないか、そこに被害者意識が増大する一つの要因があるのではないかとも思えました。同施設から歩いて40秒ほどのお宅でヒヤリングした60代の男性は、準工業地域では同施設の建設及び営業が可能であることをどう考えるかを伺うと、それまでの雰囲気が一変し、突如、「そういうことを聞く時点で、この問題の本質を理解していないよそ者のやじ馬でしかないんだ」と声を荒らげました。ヒヤリングさせていただいた方のほとんどは、保管所問題に関心を持って別の地区からわざわざ来たのだから、きっと業者や行政に批判の目を向けている人間などだろうという思いが無条件にありました。なので、反対の意識が強い方ほどヒヤリングに快く応じて下さるのですが、完全な反対擁護派ではないと分かった時に(僕はそもそも、客観的に判断するために同地を訪れています)、大なり小なり対応は変わります。そして、この方へのこの質問前後の感情の振れ幅の大きさは、そのまま都市課題としての理不尽さや不透明さ、被害者意識などと比例しているのだろうと思えました。

川崎市 遺体保管所

川崎市 遺体保管所
この市道から入り徒歩2分で遺体保管所に。
この道を境に準工業地域と住居地域に分かれる。


川崎市 遺体保管所
多摩川堤防沿いの道路から小道を入り徒歩2分で遺体保管所に。


川崎市 遺体保管所
多摩川堤防道路から入る小道に掲げられた古い看板。
遺体保管所の周辺はかつては工場のエリアだったことがうかがえる。





保管所に「直接隣接する住民」と「周辺住民」の意識の違い。
そしてメディアの報道への違和感

  ところで、なにか都市課題めいたものが起こったときに、メディアで盛んに言われている「地域住民の強い反対」。この時の「地域」を、どのようにイメージするでしょうか。
 一般には、例えば「町会のほとんどの住民が強く怒っている」、連日役所を反対派住民が訪れ協議を重ねている、というようなことだと思います。
 同保管所周辺での実態としては(あくまでも地域の声を拾ったみのわ信矢の主観ですが)、強い反対を表明しているのは直接的に隣接する住民であって、同保管所から半径30メートル以上離れた地区では、あまり強い熱を確認することはできませんでした。ここに、メディアの報道とのギャップを既に少なからず感じました。

 例えば、同保管所の斜め向かいでビニールプールを出して遊んでいたご一家の30代後半と思しき奥様にお話を伺うと、「とにかく反対。許せない」という強い口調で同計画への不満を主張されますし、そのまたお向かいの70代前半とお見受けするご婦人も「気味が悪いから嫌だ」ときっぱりとおっしゃいます。そして保管所の前を歩いていた同じく70代の女性は、「保管所のはす向かいの路地を入った所に住んでいるが、どうも遺体の保管の仕方が良くないと聞くし、寄りあい(説明会)には行かなかったけど反対だ」とのお話し。そして前出の60代男性は「あんなものができたらこの地域のイメージが台無しだし、資産価値も下がるだろう。その責任はだれが取るんだ」と同計画を断罪します。

 しかし、路地を2本も隔てると、住民のとらえ方は一変します。
 「なにかそういう問題はあるみたいだけど、よく分からない」、「無ければ無い方がいいけれど、造っていいならしょうがないようにも思う」、「冷蔵庫くらいあれば、みんなあんなに反対しないのではないか」、「突然計画を知らされたら近くの人が怒るのも無理ないかもしれない」と、冷静な口調で答えて下さる方がほとんどで、強い反対を表明される方はいませんでした。


川崎市 遺体保管所
遺体保管所から歩いて1分もするとマンションや戸建てが整然と並ぶ住居地域。
道を1本隔てただけで遺体保管所への住民の印象が大きく違う。




反対運動の現在の状況
 さて、反対運動についてですが、TVなどで大きく取り上げられた6月から7月にかけて盛り上がりつつあった機運は、現在ではやや縮小されているようです。以前、東京都大田区でも同じように遺体保管所建設について反対運動が起こったそうですが、中原区での開業に反対する住民には、大田区で反対活動した方々と連絡を取り合い、その経緯や経験を学んでいる人たちもいます。そのような交流の中で情報交換をしても、保管所の開業予定日が近づくにつれ、「やっぱりできてしまうんだ」という諦めが広がり、熱心な反対活動を展開できないといったことがあるようです。

 「“建設絶対反対!”などのプラカードを街中に掲げて闘う」ということをTVでも見ていましたが、実際に現場に行ってみると、そのような看板や横断幕、プラカードは全く見かけません。これにもいくつか理由があるようで、そこまでの行動を取ってくれる支援者が広がらないというものから、ある方によれば「営業妨害だとする、業者からの提訴」を警戒して控えている人もいるという話も聞けました。
 今後、反対派が巻き返しに出るのか、それともこのままの状況で推移していくのか、そのあたりについては確かなことは掴めていません。しかし、9月の開業予定に対して約1か月前でのこの状況からすると、反対派による営業の阻止は難しいと思えます。

 およそ2時間で12名の方々のお話を伺い、現場を離れ、川崎市役所まちづくり局に向かいました。





川崎市は事後対応として、条例化を予定
  同日午後14時30分、アポなしで川崎市役所を訪問。事前のお願いをしていなかったのですが、総合受付で同問題についてお話を伺いたいと申し出ると、まちづくり局総務部庶務課の職員が対応して下さいました。

 そこでまず驚いたのは、同保管所への住民の反対運動について川崎市が知ったのは、まずTVでの放映が初めてだったとのこと。その後、7月下旬になり、反対を表明する住民の代表者らが要望書を提出するため、副市長を訪ねたそうです。
 そして住民との何度かの面会を重ねながら対応を検討したが、同保管所について、市としては建設ならびに営業を取り消させることは難しいという認識だとのこと。法令に基づく判断として、市の立場は理解できますし、そうだろうと思います。

 そしてこの問題を契機として市は、「条例化」への検討を始めたと言います。
 この「条例化」。ネットなどでの事前の情報収集で既に知っていましたが、なにを目的として、どのような条例制定に向かうのか、よく分かりませんでしたが、この日の面談で概要を把握することができました。
同市まちづくり局によれば、住民からの反対表明を受けて福田市長は、まず、『同様の種類の建築物、つまり多くの住民が“迷惑施設だと考えるであろうもの”の洗い出しの指示を出した』のだそうです。現在は、その抽出を進めている段階だそうですが、その内容が整理された後、それらの計画から準備、実際の施行から営業開始に至るまでの過程が事前にしっかりと近隣住民に周知されるよう、告知や説明を求める内容を盛り込んだ条例となるだろうとのことでした。つまり条例化の目的は、『市としては、迷惑施設に準ずるものの稼働へのプロセスを整理する。かつ、事業者や建設主に対しては、予定するその内容を事前に周辺住民に周知させること』となります。しかしこの段階において既に弱腰な部分も感じられるのですが、「罰則などを盛り込むことは難しいと考えており、努力義務の域を出ることはないかも知れない」(同まちづくり局)のだそうです。


川崎市 遺体保管所
川崎市役所 本庁舎

川崎市 遺体保管所

川崎市 遺体保管所
川崎市まちづくり局



遺体保管所反対はNIMBY(ニンビー)によるもの。
それに対して市の「条例化」は正しい対処?

 以上が同日のフィールドワークの概要ですが、今回の騒動について、みのわ信矢なりの考えを述べます。
 率直に申し上げて、反対する住民の意識に合理的な面や妥当性を見ることができず、同保管所の開業を取りやめるべきとする求めは過剰要求であると考えます。

 「適法であり必要性はあろうとも自分の近所では許さない」という姿勢をもつ住民を“NIMBY(ニンビー)”と呼ぶことがあります。Not In My Back Yardの略で、「自分の家の裏ではダメ」と主張する言葉からきていますが、本件で業者の撤退を望む声は、まさにこのニンビーに当てはまると思えるのです。
 いささか細かい区分けですが、ニンビーはノイジー・マイノリティーとも異なります。ノイジー・マイノリティーには、全てとは言えずとも、中には妥当性や汲むべき正論が内在している場合があります。しかし、あえてニンビーと位置付けるのは、論理的正当性や合理性を見出しにくいケース。つまり多くの人にはエゴや我がままと映ってしまう状態にあります。本件は、そういう状況だと僕は感じました。

 そのような状況にあって、今回の住民による反対運動の仕方も、それを受けての「条例化」という行政対応も、今後各地で起こるであろう同様の問題に対する参考事例には全くならないだろうと思いました。
「まだこの問題ですら決着していないのに、なぜそんなことが言えるんだ」と言われそうです。でも、今後にはなんの役にも立ちません。
 その理由は、この反対運動もそうですし、近年話題の「保育園建設にあたって防音壁をつくらせる」といった問題などもそうですが、「適法なものへの強烈な反対」という状態に対して、各自治体での課題の抽出が間違っており、問題解消の方法がずれているからに他なりません。「どこが問題なのか」、「なにが課題なのか」を見誤っていれば、当然、対処も間違いです。先に記載した川崎市の条例化の検討などは、まさにそれを示しています。
 どういうことかを、以下に記します。



遺体保存所への需要は、超高齢化が原因?
 遺体保管所問題への対処について、僕なりの考えを述べる前に、もう一度この問題を見てみます。

 これも同問題を報道したメディアが共通して言うことですが、「超高齢化社会が招いた新たな都市問題」という言い方をします。「高齢者が急増 → 火葬設備や葬祭施設の不足 → 遺体埋葬までの長期化 → 民間による遺体保管所の事業化 → 新たな迷惑施設 → 反対」という構図。この問題を取り扱った多くの報道で、火葬施設が減少し続けていることとの関連が指摘されていますが、本当でしょうか。
 確かに、火葬施設は減少しています。しかし、こと川崎市においては、火葬が追い付いていないという状況ではないと市は言います。東京に隣接するベッドタウンという点で類似している我が松戸市でも、同じく火葬炉の不足は問題にはなっていません。
 しかしそれは、「火葬までの待機期間が無い」ということでもありません。亡くなってから火葬までの期間、自宅なのか、民間葬儀場の安置室なのかは別として、数日間の保管がなされることは以前からあり、近年急増したものではありません。実際、僕の祖母が亡くなった2010年10月、祖母の遺体は3日間、葬儀を依頼した葬祭場にて保管されました。それは六曜の関係で、それまで葬儀を執り行うことを控えた私たち遺族の問題でした。
 また、1970年7月、曾祖母が近くの病院で亡くなった後、遺体を自宅に引き取り2日間家族と共に過ごし、その後葬儀を行いました。その際は、棺桶の中の体をドライアイスで囲み、葬儀社の方がドライアイスを交換に来てくれての対応でした。夏の2日間を、ドライアイスでの対応で遺体を自宅に保管しても、臭いなどその他生活における違和感や弊害を意識した記憶はありません。

 川崎市や大田区の都市部で遺体保管所が必要となった要因は、火葬場の不足や高齢化よりも、生活スタイル、住宅事情、葬儀の仕方、などといった事への意識の変化にあるのだと考えられます。火葬の場が相対的に少なくなったからではなく、亡くなる方が急増しているからでもなく、遺体を保存する環境が変わったということだと言えます。一つの例を乱暴に示せば、「葬儀会社に頼まず、でも遺体を自宅にも置かず・置けず、どこかに保管しなければならない」というケースが増えたというようなこと。

 そしてそれは、メディアが言うような「超高齢化社会が生んだ新たな問題」ではないのです。




“迷惑施設”とは、なにか?
 次に、遺体保管所は、本当に“迷惑施設”なのかを考えてみます。
 社会における“迷惑施設”とはなんでしょうか。法律用語としては、迷惑施設という考え方はありません。慣例的な行政用語としても、ありません。まぁ、隠語として、あるいは慣用句としてはいろいろあったのでしょうが、共通概念を立てるために定義しようとすると、なかなか難しいところがあります。気持ちは、分かります。遺体保管所を迷惑施設だと言いたいその気持ちは、理解はできます。しかし、例えばパチンコ屋の隣に住むことを何とも思わない人もいれば絶対に嫌だという人もいますし、100㎡以上の金属加工工場の間近で暮らすことは嫌だという人もいればそうでない人もいる。迷惑施設とするかどうかは、人それぞれです。

 「都市計画法上、用途地域において除外対象となっている建物」。もし“迷惑施設”をもう少し具体的に言うなら、僕ならこうなるのかなと思います。それぞれの地区を社会全体の発展のためにどう活用するか、そのために用途地域は設定されています。「ここは産業全体の発展のために大きな工場をたくさん作れる工業地域にして、効率的に生産性を向上させる地区にしよう」とか、「仕事で疲れた人の安らぎのために、徹底的に良好な住環境を維持する住居専用地域にしよう」など。法律で規定した目的の達成を阻止してしまうものは除外される、それが“迷惑施設”ではないかと思うのです。しかしそれだって「そうじゃない」という人がいるからこそ、この問題が生じているわけです。人の感覚に大きく左右されるからこそ、とても難しいのですね。





川崎市による条例化への疑問
 この度の騒動を受けて条例化に向かうという川崎市の対応に、いくつか疑問があります。
 まず、先述のように“迷惑施設”の一般化が難しい中で、それらへの事前対応を考察することが有益なのでしょうか。
 それに、仮に今回の保管所が迷惑施設だとする住民との広いコンセンサスが取れたとして、その稼働へのプロセスが明確化されていれば今回の騒動が起こらなかったと考えているのでしょうか。

 ニンビーは、「嫌なものはイヤ」な人です。クレイジー・クレイマーは、「自分だけを特別扱いしろ」な人です。そのようなタイプの紛争解消に、川崎市が準備する条例化は機能するとは思えません。遺体保管所にしても保育所建設にしても、反対派の多くが口にするのは、広い同意を得るためのそれらしい詭弁でしかありません。それを根拠にして対応策を練っても、砂上の楼閣でしかないのは明らかです。もしそれに意義があるのであれば、紛争解消や問題解決に対してではなく、行政の不作為への非難に対するパフォーマンスのためでしょう(実際には不作為はありません。不作為だと強弁する反対派の言葉に反論することなくその場しのぎの対応を考えてしまう役人の意識が問題なのですが)。

 繰り返しますが、遺体保管所に営利事業としての需要が生まれたのは超高齢化社会の進行によるものではなく、社会的に一般化された迷惑施設の建設に地域が混乱しているからでもありません。原因も要因も共有できていない現象に対して、対応策などを検討してもムダなのです。




原因は「感情の劣化」であり、「社会的囲い込み」での対処を
 川崎市の準備する条例化が正しい対処ではないとすれば、では、どうすればいいのか。
 この種の紛争には「感情の劣化」が要因としてあることがほとんどです。この感情の劣化とは、「自身が相対化されることなく、かつ自身を客観的に確認することもしなくていいような、摩擦係数が小さく同調圧力も無視できる無責任な社会環境で引き起こされる、人格の退化」と表すことができます。これも乱暴に例えれば、「都心衛星都市に比較的安価に家を買い、仕事は都内に通い続け、地元に仲間は少ない。だから自宅の周辺ではわがままに振る舞っても恥ずかしくない」という男性がいたとして、自分が気にいらない環境については地元の役所に怒鳴り散らすような人になる、というようなことです。ネット上に罵詈雑言が飛び交うのも、基本的には同じ構図です。
 このような人が、団塊の世代の大量離職により近年急増しています。事実、ニンビーやクレイジー・クレイマーの多くは60前後以降の男性だという社会学者が多数います。
 そして今回の遺体保管所の反対運動の根底に、この「感情の劣化」が見られると考えます。

 では、そのような人が提示する攻撃に、どう対処するべきか。それは「囲い込み」という手法が有効な一つの手立てなのだと思っています。
 非常識な、あるいは過剰な受け止め方をしている一部の住民の意見に、正当性を持つ決定が偏った影響を受けないように、常識的な判断を周囲の住民から引き出し、しっかりと相対化された意見のバランスを客観的に提示する。そうして、過剰な感情を抑え、解消せざるを得ない状態に向けていく。社会的囲い込みとは、そのような手法を言います。
 理不尽で正当性を持たないニンビーらによる求めには、そのような態度で臨むことが、これからの社会には必要なのだと思います。

 これまでのように、“文句を言う住民には市民プールの無料券を何枚か渡して黙らせる”的な不要な補償での対応では対処しきれません。川崎市には申し訳ないのですが、同市の検討している条例化では、この域を出ていないように思えます。

 この「感情の劣化」を要因とした紛争での「囲い込み」による解消を実践するためには、高い対人スキルが求められます。それを身に付けるには、専門的な学習や研修が必要となります。しかし現代では、安易なアド・オンで何かをする(バラまく、条例をつくる)よりも、周到な対応で障害を解消するアプローチのほうが本質的な地域整備なのだということを、地方自治体には理解をして欲しいと思います。




戸田市のコミュニティ推進課による取り組み
 最後に、社会的囲い込みの実践例として、戸田市の取り組みを紹介します。
 H26年度組織図ではその名称がなくなっていますが、かつての「コミュニティ推進課」での施策として、「住民の意向を深く理解し把握するための対人スキルの職員研修」がなされていました(※詳しくは当ブログの過去記事をご覧ください)。高層マンションなどの建設が続く人口の急増において、いわゆる新住民と旧住民の対立を最小限に止めるための方策を検討した同市は、お互いの利害や思いをまず理解することが必要と考えコミュニティ推進課を設置。そしてその職員には専門的な研修を受けさせ、ミスのない対応で住民の内面をほぐしながら関係性を築くという取り組みを展開しました。みのわ信矢は同課を実際にアポなしで訪ねたことがありますが、とても素晴らしい対応に驚いたものです。

 人は人でしか育てられず、人でしか変えられず、人としかつながらない。
 複雑な社会であるからこそ、社会の基本に立ち返った理念を再確認し、最新の行政スキルを習得することが現代の自治体には求められているのだと思います。



※本稿のデータは全て2014年8月現在で確認したものです。



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後援会報 最新号が完成しました

みのわ信矢後援会報のひとつである『SANDINISTA(サンディニスタ)』の最新号が完成しました。


表面

後援会報 サンディニスタ SANDINISTA 8月号


裏面

後援会報 サンディニスタ SANDINISTA 8月号


印刷が上がり次第、朝の駅頭で、ポスティングで、あるいは街角での街頭演説で、皆さんにお届けします。
お見かけの際はぜひ手に取ってご覧ください!




※バックナンバーは、みのわ信矢後援会公式WEBサイトからダウンロードできます。






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[ 2014/08/05 23:30 ] 後援会 | TB(0) | CM(0)
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Author:みのわ信矢
“まつど”で生まれ、“まつど”で育った僕。“まつど”がもっともっと元気で優しい街になることを願っています。
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地域活性化を願う全国の方々との交流も、どんどん持っていきたいですね!

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